担保抹消 詳細
休眠担保権の抹消
相続登記をご依頼される際に相続人の方々も知らない抵当権が残ったままのことがあり、特に古い抵当権を休眠担保といいます。
通常は、抵当権者と抵当権設定者(不動産の名義人)が共同で抵当権の抹消登記申請をしますが、古い抵当権の場合、抵当権者の連絡先が分からず、抹消したくてもできないということがあります。こういう場合、要件を満たせば、例外的に抵当権設定者単独で抵当権の抹消手続ができます。
【要件】
1 先取特権、質権又は抵当権であること(根抵当権も元本確定後であれ可)
2 登記義務者の行方が知れないため共同申請によることができないこと
3 債権の弁済期から20年を経過したこと
4 債権の弁済期から20年を経過した後に債権、利息及び損害金の全額に相当する金銭を供託したことを証する書面を添付すること
【登記申請添付書類】
供託書正本、抵当権者が行方不明証明、閉鎖登記簿謄本(弁済期)、委任状
【例えば】
1・抵当権者が自然人3人(A・B・C)←上記要件1
・抵当権者の住所は福岡市だけど今ではどこか分からない古い住所
・昭和4年の抵当権
・債権額金4095円
・弁済期 昭和4年3月16日(閉鎖登記簿で確認)←上記要件3
・利息 無利息
・損害金 記載なし
・抵当権者Aから債権持分譲渡を原因に抵当権がAからDに移転
①BCDに受領催告の通知文を代理人名(登記研究560)で発送(配達証明付)
②3名とも「あて所に尋ねあたりません」の付箋付で戻ってくる←上記要件2
③債権額を3で除した債権額に
弁済予定日までの損害金年6%を足した額を
3人分(3件)供託(1件あたりの供託額8,677円)
④供託した日に供託書正本受領←上記要件4
ずっと以前に完済した住宅金融公庫の抵当権抹消
住宅金融公庫(以下「公庫」)は現在名称が住宅金融支援機構になっています。
名称が変更する前に公庫の住宅ローンを完済し、公庫が抵当権者となっている抵当記の抹消登記に必要な書類も受領していたにもかかわらず、抹消登記するのを失念していたということがよくあります。
抹消登記に必要な書類をお持ちであればその書類をご持参いただき、書類が足りなかったり、紛失してしまっているような場合は、住宅金融支援機構に足りない書類を再発行していただくことを依頼することも可能ですので、抹消登記されていないことに気づいたときは早めにご相談ください。
第一銀行の根抵当権抹消
昭和40年代に設定された第一銀行(現みずほ銀行)の根抵当権が登記されたままの場合、既に抹消登記に必要な書類を受領済みだったものの紛失してしまっているときは、みずほ銀行に改めて抹消登記に必要な書類の再交付を依頼しなければなりません。
・第一銀行からみずほ銀行への合併による根抵当権移転登記が必要
・根抵当権移転と根抵当権抹消の委任状、第一銀行からみずほ銀行への変遷が分かる登記事項証明書、現在の代表者事項証明書が必要
数年前に完済した抵当権者の代表者の交代
住宅ローンを完済した金融機関から当該住宅ローンのために設定されていた抵当権を抹消するのに必要な書類を受領していたものの、受領したのが数年前で、抵当権者の現在の代表者が抵当権者発行の委任状に記載された代表者(以下「旧代表者」)と異なる場合、旧代表者が当時代表者であった証明書を添付する必要があります。この分余計な費用と、手間、時間を要しますので、抵当権抹消書類を受領されましたら手続きはお早めに。